捨て案

 実用新案登録出願として、平成元年5月24日に、実願平1-59808【布団シーツ兼用毛布並びに保持布】 を出願したが、明細書の補正が面倒になり途中断念して、取り下げたことがある。 この当時私には、ワープロの知識もなく、当然パソコンも今のように普及していない時代だった。そのために手書きで修正修正の繰り返しに徹夜作業するなど、大変苦労して作成したのをよく覚えている。 後々調査すれば実用新案ではなく、特許として可能であり、 断念しないにしても、特許としては取得していなかったことには成るのだが…。
 どういう物かと説明するれば、掛けシーツ下面に起毛シーツを合体させることで、毛布ズレの煩わしさから開放される。且つ、底部にズレを防止させる袋帯を合体させた物。これで掛け布団自体のズレが防止でき且つ、脚への冷気を遮断する。

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 第二弾として、実願平6-2784【布団安定帯保持布】 を、 平成6年1月17日に出願した。これも同じく取り下げにした。理由は単純で、弁理士を頼む余裕が上記同様無く、明細書の補正が手間になり、取り下げる。また、もう一つの理由として、このときには年も若く、自分の作成した内容等が大平に公表されることに自信がなかったのも理由にある。つまりは勇気の問題でもあった。
 この考案の効果は、主に冬場の、布団自体のズレを防止でき、且つ、起きあがるときに、上半身が自由に開放されるため、布団安定帯自体は触らなくてよい。左右に備えるバンド(帯)により、押さえる上下間隔及び、締め付け具合の調整も可能。及び、付属のカバー使用によって安定帯が布団の収納袋にできる物。
 上記下記両者とも、すべて自作なのでわずかな費用だが、それよりも、試作と明細書に多大な時間と手間が掛かり、特に明細書の手さぐり状態で苦労した。正直、水の泡となる苦く、いい経験(?)をした思い出であった。

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 私は昔から、コンピューターに興味があったが、高嶺の花というイメージが強く中年までパソコンに触ったことすらない。1995年のWindows95発売による大普及をきっかけに、パソコンを始めた。とても便利だ(トラブルに苦労ずくめだが良い経験でやる価値があった)。

 第3弾では、リベンジとして別の新たに発明した物を、明細書をワープロ、図面をペイントブラシを使用して独り作成する。だが、前期の手書きとは違い、ワープロと、ペイントブラシの便利さで、負担からかなり開放されて重宝した(文明の力を私は尊重している。発明とは素晴らしいと人々に感謝している)。
 発明であるが、おもしろいことに、明細書を作成して出願しようと準備したすぐ後に、ある機能を思い付き、更にその機能を追加することとなる。幾枚の紙が無駄だが、追加した簡単な試作品も問題なく、その追加のために新たに明細書、図面を作成し直し、やっと出願する。意外に、その突然思い付いた案が、その考案に重要な機能である物と自分では信じている(!?)。そして後にすべて審査もクリアし、特許を得させて頂けたことを感謝している。

ただ、結局は特許とは博打なのだ。しかも、大金のかかる一か八かの掛けだ。もし、純粋な発明として世に貢献するなら、ビジネスではなく、また、特許取得でもなく、無償で提供することなのだろう。それこそが無償の立派な発明といえる。ITでいう、トロンOS、Linuxもその精神だろうか。
 特に我が国では素人の発明品に対しては企業がプライドを持ちスポンサーにならないという風潮があるようだ。ならば自分で借金までして商品化に起業すればいいかもしれないのだが、よほどの大発明でない限りそこまではしないものだ。発明とは貧乏個人には無駄な手間と時間になるのかもしれない。
アメリカでは素人の発明にスポンサーが容易についてしかも、売れなかったとしても素人発明者からは一切の賠償を科せないのだ。日本と大きい違いだ。自分で商品化するか、海外のスポンサーに頼るほうずっとましなのだろう。頑なな我が国には残念な気がする。
しかし、今回個人では、あきらめずに特許を取得する目的は果たした。生きている間に、世に生きた皮(証)を残したいという希望があった。それが叶えられた、これだけでも良しとしたい。誰もほめてくれないが…(汗)。